人生のほんとう---人生とは何かという問いを一生持たずに死ぬ人もい [4901510400] :
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人生のほんとう---人生とは何かという問いを一生持たずに死ぬ人もい

1,296円

「人間が痴呆化しています。しかもそれが非常な勢いで増えている。 目前のことしか見ていない。短絡というのも違う、たんに目前のことしかない。 これはもう生き方とも言えないし、そういう人々を見ていると、 ちょっと呆然とする感じがあります。」 以上、池田晶子著【人生のほんとう】より。 池田晶子さんの著作はほんと逆のものさし的で面白い。 この本は、あるカルチャーセンターで彼女が授業をした 記録であり、話し言葉なので読みやすい。 彼女の言は普通に暮らす人々にはかなりの嫌味に映るか、 到底理解不能ということかのどっちかのではあるまいか? 「考える」という人間として、動物とは違う能力を与えられた にもかかわらず「考えない」というもったいないことをしている。 そんな日本人の方が多いように思える。 そんなこと偉そうに言えるわけもないのだが、時代が変わっても変わらない 「不易流行」的な読書をしていると、「考えていない」自分に どうしても気づいてしまうことになる。もう少し彼女の言を 見てみよう。 「そういう人たちが加速度的に増えているこの社会のこれからにおいて、 たとえば私が「考える」という言葉を使って何事かを言ったとしても、 まったく通じなくな る可能性がありますね。 私はそのことが、どうもいよいよ実感されるようになりまして、 ついに来たなという感じがします。まともな言葉が通じなくなるぞ とい う予感ですね。」 このような実感は私も近頃少なからず経験する時がある。 子供ならかわいのだが、無邪気な大人の方か、右岸に 存する人には会話が続かなくついつい無口になる。 「私は物書きとして言葉の力というものを信じていますが、 文法が異なる人には語れないんですよ。そういう一種 違う人類みたいな人々が増えたのかなという感じがします。 人間の実存の変質が起こっているという言い方をしたこともありますが、 墜落というよりも変質ですね。堕落というと、 まだ質を同じくしているという感じがします。 同じ人間であるという気がまだしますが、変質というと、 堕落よりも怖いようなものがある あ、質が変わったんだ、と。 人生とは何かというような問いかけすら、あるいは消滅する のではないかという気がします。たとえば犯罪を起こす人の、 世界の見方などを聞いていると、人生とは何かという問いを 一生持たずに死ぬ人もいるんだな、という実感が強くした一年でした。」 なんとも手厳しい池田さんの言葉。しかし、「変質」という言葉は なぜかわかるような気がする。先日来、鈴木大拙の本を読んでいて、 「日本人の霊性」という言葉に出くわした。「霊」などという言葉が 使われているので、あっち系かと思ったがそうではないようだ。 日本という歴史の中で培われてきた、知識や道徳や科学的な モノの裏側に確かに存在するモノといったモノだろうか。 例えば、日本人の道徳観がなくなったと言われて久しいし、 失ったことは確かだと思う。しかし、東日本大震災の時や、 熊本の多発地震のときなどは、とたんに日本人の霊性が発揮される。 「あーやっぱり日本人っていいな」と思う瞬間である。 このように霊性はまだまだ失ってはいない。 「ですから、ここに来られたような、非常に真摯にものごとを考えよう とする方々が現代社会にもこれだけいらっしゃるということは、 大変うれしいことではありますが、しかし一方で、それは非常に 稀有なことになりつつあるのでしょうね。」 これは「逆のものさし講」でもいつも実感していることだ。 あっという間に幸せになるとか、こうすれば成功するなどと言った 現世利益を謳っていないにも関わらず毎回「逆のものさし講」に 足を運んでくださる方がいらっしゃる。これも稀有なことである。 「皆さん、自分のそれぞれの持ち場で、職場なりなんなりで、 同じような感じ方、考え方をする人はこんなに少ないのかと 思われることがありませんか。(笑) 私は読者の方々からの反応など見ていて、それだけの根拠ですが、 感じとして言うと、言葉を同じくしている人というのは、 千人に一人という割合かなという感じ ですね。いずれにせよ、 多勢に無勢ではあります。(笑)」 そうなんです。逆もの講もいつも少人数です。(笑) 「そんなふうにこの一年間、疎いながらも世の中のことなどを見ていて、 それまではもう 少し何とかなるのではないかという感じがあったのですが、 それが今年は完全になくなったことに気づいたんです。 言ってみれば、見切りがついた、という感 じ。もう人類はだめだと、 はっきり諦めがついたような感じがあります。 これはだめだな、日本は滅ぶな、と。滅び方がどんな形で来るか、 むろん私にはわかり ません。しかし、経済的な無理をこれだけ 続けていますから経済恐慌みたいなものが起こるのか、 核ミサイルによる戦争の可能性もやはりあるし、 東京でいえば 大地震なのか・・・・・。 大勢の人間が非常に不自然な欲望を持って生きていますから、 そういうことは、大きなところで必ず帳尻が合うように 物事は動くと思います。現在の人類は、言うところのカルマを 非常に積んでいると思います。これは必ずどこかで自浄作用が起こる。 それが自然災害であるとい う語り方もできますし、 逆から言えば、われわれ人類が無意識の深いところで そういうカタストロフを望んでいるとも言えます。 もうここまで来てしまった、こ れは一回チャラにしないとだめだ、 チャラにしてしまいたいという気持ちを、おそらくみんなどこかで 深いところで持っているのではないかと思います。 それが ある種のカタストロフという現象を引き起こすような気が、私はします。 自然災害といえども、われわれも無意識の部分は自然なんですから、 深いところで自然と無意識はつながっています。 宇宙的には別のことではないはずです。 だからわれわれ自身が自然災害を起こしているともいえるでしょう。 だからと言って、私は絶望もしないし、逆にサバイバルしたいという 気持ちがあるわけでもない。自分だけ生き残ってどうするんだという 素朴な疑問がありますし、一蓮托生というのが私のモットー でもありますから、何がどうなってもいいじゃない か、と。(笑) そういう意味での決意がいよいよ固まってきたなというのが実感ですね。 」 今日も、どこだかの国が核実験をしたというニュースが 流れました。唯一の被爆国日本が、戦争やテロ、原爆原発に対し、 どう考えどう行動するのか。異常な台風もこれからも起こると専門家は 言っています。ただ流されるだけではなく、偉い人より、私たち庶民が 本当に「考える」ということに入らないと、池田さんのように 明らかに諦めるというよりは、日本人の霊性を信じていきたい。 そう思います。

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