すえっこおおかみ

ある夏の日、お父さんはナラの木に隠れて兄弟たちが遊んでいるのを見ている、 すえっこおおかみに気づきます。 どうしていっしょに遊ばないのか聞くと… 「お兄ちゃんにまっすぐ転がれないからダメだと言われた」と。 するとお父さんに、いっぺんやってみせてごらんと言われるんです。 やれっこないのにと思いながらも転がってみせると… ジグザグ　ジグザグ　うねうね　うねうね 曲がりくねりながら転がります。 そして戻って来ると「ほうらね」と言います。 するとお父さんはまっすぐ転がれなくても　今はそれでいいんだと言います。 「まっすぐ転がるのは大きくなってからだ」と。 更に、すえっこおおかみは 「お姉ちゃんのように風のように走れない」 「お兄ちゃんのように高く飛べない」と言います。 その度　お父さんはすえっこおおかみにやらせて、 「風のように走るのは大きくなってからだ」 「高く飛ぶのは大きくなってからだ」と言います。 更にお父さんは、大きなナラの木を見上げてすえっこおおかみに言います。 「このどんぐりは、こんなに小さいけれど、それで　いいんだ。 このどんぐりが、どんなになるか知ってるかい？ほら、こんなに大きな木になるんだよ」 そしてナラの木を見上げるすえっこおおかみ。 その顔には… 子どもの成長を誰かと比べず、焦らずゆっくり見守るお父さん。 そうすれば子どもはナラの木のように、すくすく大きく育ってくれるはずです。 比べない！焦らない！必要な時だけ手を貸す こんなお父さんになりたいですね。